私のお遍路西美濃編18
横蔵寺はミイラで有名です。
ここにあるのは妙心法師の即身仏で、
平和や人々の安寧を命を捨てて祈って
死して後も祈り続けている仏様です。
私が子供の頃は
触ることも出来ましたが、
今は宝物殿のガラスケースの中に安置されています。
立派な三重塔もありました。
そして、横蔵は私の母が
少女時代を過ごした地です。
母は貧しい子沢山の家に
二女として産まれ
口減らしにと遠縁の家に
養女にやられました。
「昔はそういうことも多かったんだよ。」
ドラマのように裕福な家に
もらわれたのではなく、
田舎の機械化の進んでいない
農家の働き手として、
そして、その家の寝たきりのおばあさんの
世話役として行かされたのでした。
母はそこで大変ながら
可愛がられもし
多感な少女時代を送ったのでした。
横蔵は山間に小さな集落の点在する
とても美しい場所でした。
山にはひとかかえもあるような木が
何百本と立ち並び、
空気はきれいで、
心も体も浄化されるのを感じます。
母はこの場所のことを
けしてネガティブに話したことは
ありませんでしたが、
日陰の寒さに、夜露の湿気に
人知れず泣くこともあっただろうなぁ。
と、思ったのでした。
仁王門には今、大きな藁草履だけが飾られています。
昔は仁王さまが両側に立っていらしたのですが。
今は仁王さまも宝物殿の中に安置されています。
私の背丈ほどもある、この草履は、
鬼などの悪いものが来たときに、
うちにはこんなに大きい草履をはくほどの
大男が居るんだよ!
(強いんだよ!悪さは諦めて帰りなさい)
と、いう意味です。