子供のころ、家に三毛猫がいました。母に言わせると、
「飼っていた訳ではない」
らしいのですが、ネズミをとるのが上手なネコでした。
ある日、近所の農家のおばさんが、
「ネズミをとるのが上手なネコなら貸して欲しい。」
と、やって来ました。
段ボール箱に入れて、自転車に乗せようとしたその時、ネコはパッと箱から飛び出し、どこかへ走り去りました。
そしてそのネコは、二度と戻っては来ませんでした。
遺棄されようとした事実が 三毛猫のプライドを傷つけたのです。
「捨てられたんじゃないわ。私の方から、捨てたのよ‼️」
私には、彼女の声が聞こえた気がしました。
私は、
「貸してあげる。」
と言う母の言葉を信じていましたので、誤解で家出した三毛猫を 長い間探しました。話せばわかると。抱きしめてあげれば、また仲直り出来ると。
けれども、私は、きっと間違っていました。母はおばさんにねこをあげたのだと思います。
ネコは、自分が遺棄されたことを 理解したのだと思います。だから、身を隠したのです。
ネコの賢さと プライドの高さを知った日でした。