私が保健所から引き取った、ウエルッシュコーギーペンブロークの女の子は、コギオと名付けられました。
ところがこの子は、
鳴かない、遊ばない、甘えない。
ヘレンケラーか!というほどの三重苦をもっていました。
「ご飯さえいただければ結構です。じゃまにならないようにしています。」
目も合わせてくれません。
庭のすみっこでおとなしくしています。
ボールも、ロープも、人形も、
「これは、何ですか?これで私に何をしろと?」
と、困った顔をするのです。
散歩だ。お散歩に行こう!
お散歩の嫌いな犬なんて、いないからね。
ところが、この子は、私の後ろから、さもイヤそうにとぼとぼと付いて来るのです。
「どこへ連れて行かれるのですか?また、捨てられるのですか?」
人の後ろを歩く犬なんて、初めてです。
コーちゃんが、一才になっているとすると、肉球はもう固くなっているはずです。
ところがコーちゃんの肉球は、赤ちゃんのそれのように、ツルすべで、ぽちゃぽちゃでした。
と、言うことは、コーちゃんはお散歩に連れて行ってもらってないのだと思います。
お散歩の楽しさも知らないなんて、今までどんな暮らしをしてきたのでしょうか?
私は、彼女がネグレクト犬だと確信しました。
少し涙をこぼし、一生かわいがっていこうと決意を新たにしたのでした。