コギオヤ diary

折り返しの人生模索中

叔父の忘れ形見

私には、叔父がいました。父の1番下の弟ですが、私が幼い頃同居していました。

魚釣りが上手で、暇なときは、セミやチョウチョを捕まえてくれました。

ドカベンに出てくる、岩鬼さんのように、背が高く、肩幅が広く、スポーツマンでした。そして豪放磊落、破天荒な叔父でした。
その頃はちっともそんなことは思いませんでしたが、今から思えば、かなりカッコいい男性だったのかもしれません。

自分の部屋で彼女から来た絵はがきをうっとり見つめている様子は、ほほえましいものでした。(その時私は5才でしたが、なぜかそう思ったのです。)

年月はたち、私は大人になり、叔父も年をとりました。
そんな叔父が選んだ犬は、秋田犬でした。よほど嬉しかったのか、わざわざ家まで見せに来てくれました。賢そうな顔とふさふさ尻尾がピコピコしてとても可愛い子犬でした。

ところが、叔母は
「私は犬が苦手なの。さわれないの」
と、言って困った顔をしていました。でも、帰るときに、叔父に犬を抱いてやれと言われて、ヒーヒー言いながら、膝に毛布をひろげて犬をくるみました。
「これでなんとか大丈夫」
と、言って帰って行きました。叔父の様に動物の好きな人間には、動物の苦手な人の気持ちはわからないのだなぁと、叔母を気の毒に思いました。
子犬は、大事にくるまれて嬉しそうでした。

ほどなく、叔父は病に倒れ、入院治療のかいなく、亡くなりました。

あんなに犬を怖がっていた叔母は、犬を手放すことなく、今でも可愛がっています。