私の父は90才。
歳に不足はありません。
なるべく苦しまず、穏やかに
逝ってくれれば良いなぁと、
思っていました。
私がまだ小学校に入ったばかりの頃、
お友だちのお母さんが亡くなりました。
小さい子供を残していかなければならず
まだお若かかったこともあり、
心残りも大きかったのでしょう。
死の間際
「暗いよー、暗いよー。」
と、言われたそうです。
その時、お姑さんが、
「光に向かって真っ直ぐ行きなさい。
光の先に阿弥陀さんがいらっしゃるから。」
と、おっしゃられたそうです。
それが今でも私の
いまわのきわにいる人にかける
言葉のお手本です。
けれども、
父にはそう声をかける事が出来ませんでした。
B型でよく母に
「ノーテンキ」
と、揶揄されていた父。
もしかしたら、自分が死にかけていると
気付いてないかもしれません。
私が何か言うことによって
「えっ、オレって死ぬの?」
と、驚くかもしれません。
私はそっとしておくことを選んだのです。