下に風と書いて『颪』
冬の辛い風として、六甲おろしは有名です。
私の住む街にもおろしがあります。
伊吹おろしです。
冬になると、午後にはいつも
伊吹山から吹き下ろす
強い西風が吹きます。
高校生のころ、
私の家は市街地の西のほうにあり、
学校は、一番東にありました。
毎日八キロほどを自転車通学していました。
冬になると、帰り道は、風との戦いでした。
特に、切り通しという
堤防と堤防の間、河川敷を走る時は
ペダルに全体重を乗せても前に進まない
という悲惨な状態です。
女の人などは早々に諦めて、
自転車を押して歩いていましたが、
はっちゃき女子高生だった私は、
意地になって自転車を漕いでいました。
また、切り通しは、街灯もなくて暗く、
風でセーラー服のスカートは
腿までたくしあがり、
酷いことになっていました。
そんななので、怪しい車に
付きまとわれることもありました。
「乗ってかな~い。」
などと、窓を開けて言ってきますが、
こちらは、風との戦いに必死でしたから、
(こっちは、それどころじゃないんだよ!)
と、怖いとも思わずにペダルを踏んでいましたので、
車もしばらく並走して
女子高生の太ももを楽しんだ後
去っていきました。
今から思うと、恐ろしいことです。
親は何をしていたんだ!
進学で、地元を離れると
その風が地元だけの
クレイジーなものと知りました。
さすが古都奈良、
雨もじょうじょうと降るんだな。
と、変に感服しました。
奈良では、あんな強い風は、台風の時だけでした。
いやいや、台風の方が、負けてるくらいでした。
ごうごうと吹く風を平気で見ている私を
級友は不思議がりました。
今、生まれた街に帰ってきて、
やっぱり地元はいいなぁ。
と、思います。
でも、もし私が他所の生まれなら、ちょっと
「かなんなぁ」
と、思うでしょうね。
「お外暮らしは 大変だったわ。」
書籍化記念! SUUMOタウン特別お題キャンペーン #住みたい街、住みたかった街