まだまぉさんが
家の中と外を自由に行き来していた頃のある日、
セミが飛んできて、
家の庭のびわの木に止まりました。
早速大きい声で鳴き出します。
温度が一気に三度ほど上昇した気がしました。
私の家の周りには、田んぼが多く、
家々も、比較的新しいので、
あまり大きい木がありません。
なのでセミも家の周りにはいないので、
たまに飛んできて、鳴かれると、
その声の大きさに圧倒されます。
そこでたまたま目に入ったまぉさんに、
「あいつ、やっつけて来て。」
と、頼みました。
そんなことも忘れた夕方、
私の部屋に落ちていたものは、
セミでした。
「まぉさん、本当にやっつけて来てくれたの?」
以前ネズミを捕まえて来たときは、
下半身のプレゼントでしたが、
今回は、上半身でした。
まぉさんを見ると、
「私が本気になれば、こんなもの簡単よ。」
と、あくまでも依頼を実行しただけと、
すまし顔です。
まさか、本当にやっつけて、
しかも証拠まで提示してくれるとは、
思ってもいませんでした。
「私を誰だと思っているの?」