その晩、まぉさんは、帰って来ませんでした。
朝、早く目覚めた私は、近所をさがして歩きます。
どこにもいません。
シャムねこや、ペルシャ猫なら、誘拐ということもあるかもしれませんが、サビ猫は………ないない。
後ろ髪を引かれながら、仕事に行きました。
仕事から戻っても、
「お帰りなさい。」
と、迎えてくれるまぉさんは、いません。
ネコ缶をパコパコならしながら、近所をさがして歩きます。
まぉさんはどこへ行ってしまったのでしょうか?
くよくよ、メソメソ考えながら、夜になり、朝を迎えました。
ご飯の前に近所を一回り。少し遠くまで捜しましたが、見つかりません。
そうこうしているうちに、出勤の時間です。
何で人間は、働かなきゃいけないんだ!
筋違いな怒りが湧いてきます。
「だから、室内飼いにすれば………」
今言う事か!!‼️
仕事から戻ると、近所の奥さまが知らせてくれました。
「みっちさん、みっちさん。あの子、まぉさんじゃない?」
なんと、近所の電力会社の施設の屋根に上がって降りられなくなっているのでした。
施設は、プリズンブレイクみたいな鉄条網で囲われています。
どうすれば、いいのでしょうか?
と、知らせて下さった奥さまが、
「電力会社に電話してあげたからね。」
なんて、気がきく方なの。すみません。
しばらくして、電力会社の車が到着。
長い棒を手にしたお兄さんを見て、まぉさん1.5階分の高さの屋根から飛び降り、どこかへ走り去って行きました。
「手数料取られるって、噂があるから、知らない猫ですって、言っておいたからね。」
と、奥さま。
何から何まですみません。