買い物から帰ると、廊下にゴミが落ちていました。
何気なく拾うと、
「ぎゃー!」
それは、ネズミの下半身でした。
茅ネズミという、親指の先ほどの 小さなネズミですが、
だからといって、さわりたいとは、思いません。
特に、下半分は。いえ、上半分もですけれどね。
「これ、誰がやったの?」
まおちゃんは、おっとりと横臥したまま、
「私だけど、なにか?」
と、言う開きなおった顔で、こちらを見つめてきました。
(こんなとき、犬なら、
絶対泣きそうな顔で謝って来るのに、
その、ふてぶてしい態度はなんだ!)
怒るのも忘れてビックリだわ。
かわいいまおちゃんにこんな1面があったとは。
まおちゃんは、猫じゃらしで遊びません。
1回は、パッと捕まえます。が、匂いを嗅いで、ちょっと噛んでみて、
『これは食べられない。』
と、判断すると、2度と見向きもしません。
きっとまおちゃんにとって、
何かを捕まえるということは、
生きていくために、必要な狩りであって、遊びではないのだと、思いました。
でも、狩りはいいです。
私が怒っているのは、狩ではないのです。
その不遜な態度は違うよね。
「廊下において、ごめんなさいでしょ。」
と、言っても、かたくなに聞こえないふりをする まおちゃん。
「小鳥に鴻鵠の志はわからないのだ。」
と、睨んできます。
お母さんは雀じゃないぞ!
お前は、いつから《こうこく》になったのだ?
この子は、かなり気が強そうです。